2005-07-29

日本人は勤勉か

杉浦日向子さんが亡くなったのは既報の通り。
それに関する文章でちょっと気になったことが一つ。

http://www.sankei.co.jp/news/050727/morning/column.htm

>手本となったのは、働くのが大嫌いだった江戸っ子たちの暮らしぶり。

ちょっと待て、27日の記事(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050727-00000011-yom-soci)にはこうある。

日本人の勤勉さ「今後続かない」が6割…読売世論調査

 「ニート」と呼ばれる若者の増加が社会問題となっている中、読売新聞社が9、10の両日に実施した「勤労観」に関する全国世論調査(面接方式)で、若者の働く意欲の希薄さが浮き彫りになった。
 「何歳くらいまで働きたいか」との質問に、「なるべく早く仕事をやめたい」と答えた人は6%だったが、年代別に見ると、30歳代は10%、20歳代では14%と最多だった。
 また、学校に行かず、働かず、仕事を探そうともしない「ニート」の増加で、日本の社会が活力を失いかねないと懸念する人は計91%に達した。ニート増加の原因については、「親が甘やかしているから」55%がトップだった。
 こうした若者の勤労意欲の希薄さに対する危機感を反映し、世界的に定評のある日本人の「勤勉さ」が今後続かないとみる人は58%に上った。1984年から始めた同種調査で最高で、しかも今回初めて「勤勉さ」の先行きを心配する悲観派が楽観派を上回った。

日本人は勤勉なはずじゃなかったか? と思うと、江戸っ子は働くのが大っ嫌いだという。どっちが真実か。

どちらも真実だということになるか。日本人が勤勉だというのはあくまで外からの見方といわねばならないだろう。もちろん、仕事嫌いなのは江戸っ子なのであって、それ以外は仕事が好きだという見方もできる。

ここで注目せねばならないのは「日本人はそもそも勤勉だったのか」という命題である。私は日本人は勤勉さそのものではなかったと思うのだ。

日本の文化を「恥」の文化だという人がいる。十数年前までは、それは間違いなく日本の文化ではなかったか。そうでなくなってきたのはここ十年以来のことであろう。恥ずかしいからまともに生きてきたのが日本人ではないか。定職に就かなければ恥ずかしい。大学は入ったら卒業しなければ恥ずかしい。そういう積み重ね、言い換えれば外聞を気にする国民性が日本人の勤勉さとして表に出てきたのだといって良い。勤勉でないと恥ずかしい事態に陥った、だから表向き勤勉を装っていたに過ぎない。

そう考えると、現在の「ニート」の台頭は、すなわち若年隠居である。江戸時代ならば、いい隠居生活を送るために必死で働いたのだ。そうに違いない。よりよい「さぼり人生」を送るためにがんばったというに過ぎない。ならば、これは勤勉といえるのだろうか。意外とそうでもなさそうだ。

ならば、ニートの減少のためになす施策は決まってくる。若年隠居できなくすればいいのだ。一定の条件を満たした若者は親元で同居することを禁じればいい。ならば、パラサイトな生活はとたんにできなくなる。民法上の親族の扶養義務も削減するか例外を設けるほかあるまい。勤労意欲がないと客観的に判断できるものは扶養・扶助義務対象から外すのだ。