2010-05-03

廃棄物法制を考える

富士に不法投棄の山 不況で業者が発覚後も産廃放置
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20100502/CK2010050102000231.html

不法廃棄(産廃・家庭どちらも)については、やったやつへのサンクションが薄い。産廃の場合はやった業者が倒産すれば代執行をしても費用の回収ができない。したがって行政負担になってしまう。かといって、産廃処理業者に負担させるとその分は解体業者などに負担が行く。すると、解体業者は処理業者に委託せず不法投棄をするだろう。これでは意味がないどころかもっと酷くなりうる。

では、解体業者および処理業者に税を課してそれを基金とし、不法投棄の代執行に伴う費用の穴埋めに使うのはどうかというと、これもモラルハザードが立ちふさがる。代執行してもらえるので不法に捨てても良いということになりかねず、改善しない。

すると、思い浮かぶのは不法投棄の厳罰化だ。法人はお取りつぶし、個人は無期懲役まであっても良い。なにしろ、不法投棄をしても大したサンクションがない(経済的・精神的な負の報酬がない)のでやるからなので、「やったら社会的に死ぬ」というのは十分抑止力になりうる。粗暴犯では死刑に抑止力がない場合があるが、経済犯なら本人が生きることを前提にする犯罪なので抑止力は十分にある。

ただ、厳罰化したところでなくなるわけではないだろうから、その、不法投棄されてしまったものをどうして原状回復するかという命題は残る。「不法投棄税」を新設して、不法行為の態様に照らして処理費用を税として徴収するのはあり得る。ただ、不法投棄をやるような所はどのみちヤバイので、実際は役所の持ち出しになってしまう。あまりにも歯がゆい問題だ。

ひとつには産廃処理業者に預け金をさせる手があるだろう。足りそうな額として、仮に5000万円としようか。中小は算入が不可能になるが、「(静岡県廃棄物リサイクル課によると)、放置する業者の大半が今回の建材業者のような中小業者」という現状からすると、中小の参入を阻むことで一定の効果はあるだろう。どうしてもやりたければ寄り集まって大きい規模でやって頂くしかない。
ただし、瓶等のデポジットとは異なり、事業は未来に渡って継続するのが前提だから、預かり金は事実上返還されない。

すると、株式会社での設立を義務づけ、預け金に当たる額は地元の公共団体へ株を預けるという方法もあり得ることになる。これだと株主という立場から強力に是正を求められることになる。

会社法は疎いので、株譲渡制度は法律上いけるのかどうかわからんけど、証拠を残すが故に足が着きにくいという投棄犯罪についてどう対処するのかという問題は非常にややこしいと感じます。

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